制作裏話

オチビサン!

お久しぶりです!矢口です!

最近めっきり寒くなり、風邪をひかないように注意していても、なかなか厳しい寒暖差ですね 😥

体調管理気を付けて仕事頑張ります 🙄

今週のブログ当番 矢口さんはこんな人

 美大油絵科を卒業後、予備校スタッフや

 アニメ制作会社にて制作進行の仕事を経て

2014年 スタジオPABLO入社。

 様々な作品に背景マンとして参加後

 TVアニメ『蒼天の拳REGENESIS』

 TVアニメ『さらざんまい』で美術監督補佐。

TVアニメ『オチビサン』で初の美術監督

山形県出身

オチビサンをご紹介します!

さて今回は、パブロで新たに美術を担当させていただいた
NHKで放送中のTVアニメ『オチビサン』という作品をご紹介します。
2023年10月から放送開始されており、現在絶賛放送中です!
PVとキービジュアルも是非ご覧ください!

https://sh-anime.shochiku.co.jp/ochibisan/

今回わたしは、この作品で初美術監督として参加しました!

オチビサンは手刷りの版画技法【ポショワール】を安野モヨコ先生流にアレンジし、描かれています。

合羽版、型紙摺り。フランス語ではポショワール(pochoir)と呼ぶ。絵具をつけたい形を切り抜いた型紙(紙、金属など)を支持体にあてがい、その上から絵具を刷ることで穴を通して形を転写する方法。孔版の最も基本的な技法で、日本では古代から染色の分野で使われていたようである。

https://artscape.jp/artword/index.php/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%AB#:~:text=%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%83%9D%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%EF%BC%88pochoir%EF%BC%89%E3%81%A8,%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

切り抜かれた版を何枚も作成し、色を重ねて出来上がっています。
そのポショワール技法をアニメ背景美術に落とし込めないかと考えました。

そんな試行錯誤の中、今年2月に名古屋旅行に行った際
偶然、原作者の安野モヨコ先生の作品展『安野モヨコ展 ANNORMAL』が名古屋で開催されていたので観覧させていただきました!

展示ではオチビサンのブースもあり、その作業工程動画が公開されていたので、食い入るように観察しました。
お土産ブースにオチビサングッズが売っていたので、【オチビ版画キット】を購入して、早速版画作成をしてみました!

 

 

スタンプでポンポンして色を塗っていきます。
絵柄に合わせて版を切る作業が一番難しかったです。
スタンプも力加減によって、色味が全然違うのと、スタンプの跡が残るので、広範囲を塗る際には神経を使いました。

実際作業してみて、ポショワール技法の面白さがわかったので、このスタンプをなんとか活かせないかと考えました。

色々なメーカーのスタンプを購入して作業してみましたが、展示で購入した版画キットのスタンプが一番使いやすかったので、(※artnicというメーカーのものです。)

このスタンプを使ってPhotoshopで使うブラシを作成することにしました!

 

アナログにこだわったオチビサンの背景について

オチビサンはモヨコ先生の、絵に対するこだわりを強く感じる作品だなと思いました。

特に着彩に関して
作業効率の高いデジタル着彩ではなく、あえて工程数や手間の多いポショワール技法を選択されて
1枚絵ならばともかく、コマの多い漫画で実現されていることに
驚きと尊敬を感じました。

わたしの想像になりますが
作品の雰囲気を考えて、アナログ着彩が持つ温かみを優先されたのだと思いました。

監督からも
最初の発注時にアナログに対するこだわりをお聞きしました。

本来ならポショワール技法を そのままアニメの背景画で再現したかったのですが
残念ながら
作画枚数が多いことや、スケジュール的な問題などで実現不可能と判断しました。

試作段階では、ポショワールではなく、水彩でアナログ描写もしましたが
作品の雰囲気にマッチせず
最終的にポショワール技法をデジタルで再現する形となりました。

塗りはデジタルですが、モヨコ先生のアナログにこだわる姿勢を取り入れたく、線だけはアナログで描くことにしました。
コピー用紙にインクとGペンを用いて線を描いています。

線をアナログで描くことで、あたたかみや味が表現されたかなと思っています。

デジタルで色を塗る際には、先ほどご紹介したスタンプで作った「オチビブラシ」を用いて、ポンポンとスタンプを押すように意識して塗っています。

版画のイメージを出すために、最後に和紙テクスチャをのせて完成させています。

原作の四季折々の彩りと、モヨコ先生が描くセンスの良い画面をアニメ版として表現することが非常に難しかったです!

 

 

実際にわたしが描いた1話の一部をご紹介します。 #1 シーン1 c13

①原図(制作会社からいただくレイアウト)を整理します。

 

②Gペンで線を描く

 

③Photoshopでオチビブラシを使って塗っていく

 

④和紙テクスチャをのせて完成

 

YouTube公開されています!

スタジオカラーさんによるオチビサン制作スタッフ制作秘話が、先週YouTubeにて公開生放送されました!

こうやって作られていたんだなぁとわたしも聞き入りました!

とても面白いお話が繰り広げられています!

見逃された方もアーカイブから観れますので、是非ご覧ください!

 

最後に

作品制作中に、本作に参加している方達の技術の高さを感じていたのですが、
放送をみて、改めて作品の完成度の高さに驚きました。

キャラクターの可愛らしさ、動き、音楽、声、作品全体のバランスが非常に素晴らしく、

特にパンクイとナゼニの耳の重量を感じる動きに感動しました!

作品制作にあたって
制作会社カラーさんの制作進行さん達の優秀さにも日頃から
大変助けて頂きました。

素晴らしい作品に参加できてとても良かったです。

貴重な経験をありがとうございました!

 

オチビサンはNHK総合をはじめ、複数の配信でもお楽しみいただけますので
是非ご覧ください!

 

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA