こんにちは座間です。
今回はこちらの作品の紹介です。
TVアニメ『pet』
『ペット リマスター・エディション』（ビームコミックス／KADOKAWA刊）
監督：大森貴弘
監督補佐：小竹 歩
シリーズ構成：村井さだゆき
キャラクター設計：羽山淳一
アニメーションキャラクターデザイン：工藤昌史
音楽：島秀行
総作画監督：山田正樹/日向正樹
エフェクト・アクション作画監督：山田起生
プロップデザイン：新妻大輔
美術ボード：秋山健太郎/座間智子（スタジオPablo）
美術監督：館藤健一
色彩設計：岩沢れい子
3DCGディレクター：原 一晃
撮影監督：森谷若奈
編集：関 一彦
音響制作：Ai Addiction
制作：ジェノスタジオ
製作：ツインエンジン
こちらの作品、秋山さんと連名で美術監督を担当する予定でしたが
コンテやキャラデザなどの準備期間の遅れで
作業期間が一年ズレたため最後までPABLOで担当できず、、、途中で無念の離脱となりました。
私は主に↓のような
イメージボードと初期の美術ボードを担当しました。
※本編の美術監督は館藤健一さん
背景はマービージャックさん、京江さん、ビックスタジオさん、じゃっくさん の4社でご担当されています。
（1話から4話はPABLOで担当しました）
TVアニメ『pet』のイメージボード ご紹介します
今回のブログでご紹介する
「イメージボード」は主に制作初期に描いたものになります。
『pet』は2つの異なるシーンで構成される世界観
少しわかりにくいですが
『pet』（ペット）は
通常の世界観表現である【ノーマルシーン】
と
心象風景が主体となる【イメージシーン】
の2つの異なるシーンで構成されています。
それぞれご紹介します。
ノーマルシーン
『pet』ではキャラクターの心象風景を軸に、物語が展開されていきます。
イメージシーンは
心象風景を印象的にするために
偶然性をいかした表現として、「手描き背景」で描こうと考えました。
そのイメージシーンと差を出すために
ノーマルシーンはあえて無機質なデジタル表現で描いています。
イメージシーンは2種類
『pet』のイメージシーンは2種類有ります。
ヤマ と タニ です。
『pet』では
「登場人物の過去の記憶の世界」が登場します。
みなさんの過去記憶にも
良い記憶と良くない記憶があると思います。
作品の中では
最も良い記憶を ヤマ
最も良くない記憶を タニ
と呼んでいます。
人の記憶は誇張されることがありますが
この作品の面白いところは
ヤマ や タニ を誇張表現しているところです。
イメージシーン【ヤマ】
「ヤマ」は登場人物の最も良い記憶です。
心のよりどころとして、誇張して描かれています。
こちらのヤマのイメージボードは秋山さんが担当しました。
※原作の先生に許可を頂いて
原作のコマと同じアングルで描いています。
ノーマルシーンと明らかに表現の差をつける為に
アナログの水彩表現にしました。
絵の具のにじみや色のきれいさを生かしたイメージになっています。
イメージシーン【タニ】
こちらは負のイメージ空間です。
各キャラクターの持っているトラウマ的な記憶を
誇張して表現されたものが、タニ です。
タニは座間が担当しました。
※原作の先生に許可を頂いて
原作のコマと同じアングルで描いています。
ノーマルシーンと明らかな表現の差をつけたかったのと
ヤマ とも差を出したかったのため
油絵のような幾重にも色を重ねたような
混沌とした複雑なイメージにする狙いで描きました。
作品の重要シーンのイメージボード
冒頭にもご紹介したこちらのイメージボード。
物語の見せ場となるシーンに
”空に臓物（ぞうもつ）が舞っている空間”
というものがありました。
臓物とは人の内臓のことです（怖）
この超特殊な空間をどのように
アニメで表現するか、、、
どこまでをセルや背景美術で描き
どこまでを3Dや撮影で表現するのか
そういったことをシミュレーションする必要があります。
そこで最初に必要になるのが
どんな絵になるのか？
というイメージをスタッフみんなで共有するための
「イメージボード」になります。
臓物であることが”何となく解かる程度の表現”
（ハッキリさせるとTV放送上良くないため）
にする必要がありました。
明るくカラフルに見せてぱっと見何かわからないようにする案
暗くしてわからないようにする案
このように２案ありましたが
結果は”暗くしてわからないようにする案”になりました。
タニ のカメラが寄ったときの表現
タニのシーンで
キャラクターにカメラが寄っている場合
背景画の表現をご紹介します。
キャラクターのアップのスキマから見える空間ボケでも
タニ であることがわかりやすいよう
ドロドロとした狂気が混ざるイメージにしました。
TVアニメ『pet』のヤマやタニの表現
是非一度ご覧ください♪
さて、私の近況ですが
TVアニメ『2.43 清陰高校男子バレー部』や
スタジオ心さんが美術を担当されている
TVアニメ『魔王城でおやすみ』
の背景作業のお手伝いをしています。
ほんとに、ちょっとだけお手伝いしているだけで申し訳ありませんが
『魔王城でおやすみ』の概要を説明しますと
かつて、人と魔が存在していた時代── 魔王は人間の姫をさらい、自らの城に幽閉した。 人々は怒り、勇者は姫を救うために旅立つ！！ そんな中、檻の中で姫は想う… 「寝る以外、する事ない」安眠する方法を探すため、囚われの姫が魔物を狩ったり、宝物庫に忍び込んだり・・・！ 新感覚、睡眠ファンタジーコメディー！！
公式サイト（https://www.sunday-webry.com/detail.php?title_id=437）から引用
つまり…立体にしてご説明しますと
……、はい、わかりにくいので素敵なPVをご覧ください。
中村千恵子さんの美術は絵の楽しさがあふれていて、いつもわくわくします。
他に私の近況は色々あるのですが
立体にすることに力を使ってしまったので。今回はこの辺で…(‘◇’)ゞ
↓本編はこちらから視聴可能です。
今週のブログ当番 座間さんは こんな人
2008年美大油絵学科在学中にパブロでアルバイトを始める
卒業後そのまま入社
2013年『ヘタリア The beautiful World』（5期）で初の美術監督
神奈川県出身
座間さんの過去記事
