雑記

映画「Flee/フリー」を見ました。

こんにちは、土橋です。暖かい季節になってきましたね。 😳
寒暖差が激しいです、みなさんは体調の方は大丈夫でしょうか?

今週のブログ当番 土橋さんはこんな人

美大油絵科在席中から、アルバイトとしてスタジオPabloに勤務

大学卒業の2018年入社

現在はTVシリーズや劇場作品に背景マンとして参加中

神奈川県出身

最近事情があり趣味の映画館通いが難しくなり、U-NEXTという配信サービスで
見逃してしまった映画作品を自宅鑑賞するという為に励んでおります。


(こんなホームプロジェクターを導入しましたが壁投影でも充分綺麗で素晴らしいです。)

中でも特に気になっていたアニメ作品をようやく観て、とても感動したので
その紹介をしたいと思います。

「Flee/フリー」という作品です。

画像引用元(https://eiga.com/movie/93325/photo/)

アヌシー国際アニメーションという伝統的な国際映画祭があるのですが
そこで2021年最高賞等三冠を受賞し、米アカデミー賞の方でもノミネートされ
他の映画祭でも多く受賞した圧倒的な評価のある作品で、昨年の6月にも日本公開がされておりました。

(日本版のトレイラーです。)

この映画は映画監督の方のとあるアフガニスタン出身の友人の男性の生い立ちについて取材し、映像化した実話に基づくドキュメンタリー作品です。
話の主役となるアミンさん(これは仮名です。)という方は現在は研究員をやっており、今年にはパートナーの男性との結婚の予定もあるのですが
アフガニスタンからデンマークに亡命し、難民センターから支援を受けて大学へ進学した方なので、過去に内戦から脱出し亡命するまでに不法滞在や密入国業者との過去があるため、彼の現在の身の安全を守るために実写ではなくアニメーションという表現手段が選ばれたという作品なのです。

アニメという表現方法がそのような匿名性をとるためという目的に用いることができるのだと、まずこの部分において驚きました。 😯
(日本ではなかなか観ることができないタイプのアニメではないでしょうか?)

ならば単にドキュメンタリー映像を2Dアニメに描き起こしただけの映像では?と想像したのですが、これがとてもアニメとしての映像が凝っている作品で
一度撮影したフィルムをレイアウトに丁寧な美術と作画で表現しているのと
アミンさんが経験した凄惨な過去のフラッシュバックシーンを抽象的なモノクロ調で描いていたり、説得力のある当時のニュース映像が差し込まれていたり
他にも多面的な映像表現を採用し、一本のアニメ映画作品に見事に落とし込んでいます。
アニメでなければいけない理由と、アニメだからこそできる表現に真正面から取り組んでいることが素晴らしいです。

ドキュメンタリー作品なので、ストーリーの感想については語ることが大変重く
まだまだ歴史や時事に対して勉強中な私からはアミンさんの半生がどういうものかはとても説明が難しいのでここでは避けますが…

観終わった率直な感想としては「一人の人間の人生をアニメ化する」
という情熱は凄まじく、尊さのあるものだ、と思いました。

どうしてここまでしてアミンさんの人生を映像化しようと思ったのか、どうして彼の話を映画として後世に記録したかったのか、どうしてアミンさんの経験したことを世の中に発信したかったのか

それはこの作品の映画監督の方のアミンさんへの親愛と敬意が原動力にあるからこそだと思いました。友人として大切な方だからこそ、彼のこと、彼の身に起きてきたことをどうしても世の中の人に伝えて、共感したり考えてほしかったのでしょう。

この映画の映像は全てアミンさんから語られた話を監督が自分の中に落とし込んで構成しアニメにしているものなので、描かれていく景色全ては監督のアミンさんへの友愛のフィルターを通されているものだと伝わります。
数多くの賞を受賞したのは、アニメ映像作品として芸術的に優れているという点や現在の時事問題への提起の他に、監督をはじめ彼らアニメ映画制作陣の、アミンさんという一人の男性に対する心からのリスペクトの姿勢が観る人誰もに伝わるからなのだとも思いました。

アニメーションに1スタッフとして携わっている身として、アニメ表現とはそもそも何かと考えるための、勉強になることが沢山ある映画でした。
私はU-NEXTで観ましたが、今後他の配信プラットフォームできた時に是非他の人にもおすすめできる作品かなと思います。

最後にお知らせです。

TVアニメ『逃走中 グレートミッション』
毎週日曜日朝9時~放送中です。
現在私も参加させていただいております。ぜひご覧ください!

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