こんにちは。藤野です。
私は最近、来年放送予定作品の美術監督として、作品の「準備期間」を過ごしています。
今週のブログ当番 藤野さん はこんな人
美大日本画を卒業後、2013年スタジオPablo入社
2017年TVスペシャル『女川中バスケ部5人の夏』で初の美術監督
2019年TVアニメ『どろろ』の美術監督も務めました
愛知県出身
美術監督が「準備期間」に作成するもの
アニメ制作は、TV放送が始まる1年〜2年ほど前に「準備期間」があります。
この間、美術監督はいろいろと準備を行います。
この期間に作成されるものは、後々、演出さんやアニメーターの方達や背景スタッフ達など、多くの人達と共有する資料になります。
イメージボード
その1つが『イメージボード』です。シーンごとに作成する「美術ボード」とは違います。
作品の美術スタイル(美術の絵柄)を決める工程です。
現在作業中の作品のイメージボード
※未発表作品のため、ぼかし処理で失礼します
イメージボード制作前に
キャラクターの大まかなデザインが、出来上がっている場合が多いので
そのキャラクターとお話に合わせた雰囲気を出せるように、工夫します。
使用する画材やタッチ、色彩などで、画面の雰囲気はガラリと変わります。
監督とやり取りをしながら、絵柄や色味を決め込んでいきます。
昨年美術監督をつとめた『どろろ』の背景美術は弊社ギャラリーでもご覧頂けます。
美術設定
アニメの舞台となる場所を、説明するように描いた線画が『美術設定』です。
現在準備中の作品は
このようにボケた状態でしか
ご紹介できませんので
『どろろ』の美術設定です。
室内の広さや、どのような小物が配置してあるかなど
説明的に描いています。
美術設定は原作やシナリオを読んで、芝居内容や話の展開に合うように考えていきます。
色は使わず、線画で描きます。
線画だけでわかりにくい部分は、補足として文字や写真を添えます。
美術設定は、アニメ全体の工程の中でも初期工程になります。
建築に例えれば基礎工事にあたる、地味ですがとても重要な作業です。
初のオリジナル作品での「準備期間」
私が過去に美術監督として関わった作品は
原作があったり、実話を元にしたドキュメンタリーでしたが
今回準備しているのは、そうしたベースのない監督オリジナル作品です。
先が見えない不安もありますが
原作のある作品とは違う面白さがあってワクワクします。
見たことない世界観や絵柄を考えるのは難しく、アイディアが煮詰まって苦戦していますが
「作品世界を自分も作っている」という感覚が得られて、とても楽しいです。
作品は2021年放送予定ですので、詳細が発表になったら
こちらにアップさせてください!