こんにちは。藤野です。
私は最近、来年放送予定作品の美術監督として、作品の「準備期間」を過ごしています。
今週のブログ当番 藤野さん はこんな人
美大日本画を卒業後、2013年スタジオPablo入社
2017年TVスペシャル『女川中バスケ部5人の夏』で初の美術監督
2019年TVアニメ『どろろ』の美術監督も務めました
愛知県出身
美術監督が「準備期間」に作成するもの
アニメ制作は、TV放送が始まる1年〜2年ほど前に「準備期間」があります。
この間、美術監督はいろいろと準備を行います。
この期間に作成されるものは、後々、演出さんやアニメーターの方達や背景スタッフ達など、多くの人達と共有する資料になります。
イメージボード
その1つが『イメージボード』です。シーンごとに作成する「美術ボード」とは違います。
作品の美術スタイル(美術の絵柄)を決める工程です。
![](https://studio-pablog.com/wp-content/uploads/2020/06/EaSiykzU8AMa-TN-600x450.jpg)
現在作業中の作品のイメージボード
※未発表作品のため、ぼかし処理で失礼します
イメージボード制作前に
キャラクターの大まかなデザインが、出来上がっている場合が多いので
そのキャラクターとお話に合わせた雰囲気を出せるように、工夫します。
使用する画材やタッチ、色彩などで、画面の雰囲気はガラリと変わります。
監督とやり取りをしながら、絵柄や色味を決め込んでいきます。
昨年美術監督をつとめた『どろろ』の背景美術は弊社ギャラリーでもご覧頂けます。
![](https://studio-pablog.com/wp-content/uploads/2019/01/IMG_2289-thumbnail2-1-320x180.jpg)
美術設定
アニメの舞台となる場所を、説明するように描いた線画が『美術設定』です。
![](https://studio-pablog.com/wp-content/uploads/2020/06/f35b8cf521b3bc9c3594e47232735f6d-600x418.jpg)
現在準備中の作品は
このようにボケた状態でしか
ご紹介できませんので
『どろろ』の美術設定です。
室内の広さや、どのような小物が配置してあるかなど
説明的に描いています。
美術設定は原作やシナリオを読んで、芝居内容や話の展開に合うように考えていきます。
色は使わず、線画で描きます。
線画だけでわかりにくい部分は、補足として文字や写真を添えます。
美術設定は、アニメ全体の工程の中でも初期工程になります。
建築に例えれば基礎工事にあたる、地味ですがとても重要な作業です。
初のオリジナル作品での「準備期間」
私が過去に美術監督として関わった作品は
原作があったり、実話を元にしたドキュメンタリーでしたが
今回準備しているのは、そうしたベースのない監督オリジナル作品です。
先が見えない不安もありますが
原作のある作品とは違う面白さがあってワクワクします。
見たことない世界観や絵柄を考えるのは難しく、アイディアが煮詰まって苦戦していますが
「作品世界を自分も作っている」という感覚が得られて、とても楽しいです。
作品は2021年放送予定ですので、詳細が発表になったら
こちらにアップさせてください!